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不動産賃貸業における「事業承継税制」

 
不動産賃貸業の事業承継税制
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こんにちは。大阪府の寝屋川市で不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。

「平成30年度税制改正」により事業承継税制の要件が大幅に緩和され、今後この税制を利用する会社は増えていくものと考えられます。

今回は、「不動産賃貸業を営む企業」に焦点をあて、「事業承継税制を利用することができるのか」、その適用可否について解説していきたいと思います。

 

☟個人事業主の事業承継税制についてはこちらの記事を参考ください

個人事業者の「事業承継税制」について解説

 

不動産賃貸業が満たすべき要件

事業承継税制の適用要件のひとつに、「資産管理会社に該当しないこと」という要件があります。

 

📝【資産管理会社】

「資産管理会社」とは、一般的に不動産や株などの資産を所有している人が、その資産を管理することを目的として設立する会社法人。

 

さらに資産管理会社は、「資産保有型会社」と「資産運用型会社」の2つに分けることができます。

不動産賃貸業は、資産管理会社に該当する可能性が非常に高い業種です。

不動産賃貸業において事業承継税制を適用できるかどうかは、まず、資産管理会社に該当するか否かを判断していきましょう。

 

資産保有型会社とは

「資産保有型会社」の定義について、まず、該当する条文を確認してみましょう。

 

経営承継円滑化省令第1条12項

12 この省令において「資産保有型会社」とは、一の日において、第一号及び第三号に掲げる金額の合計額に対する第二号及び第三号に掲げる金額の合計額の割合が百分の七十以上である会社をいう。
 
一 当該一の日における当該会社の資産の帳簿価額の総額
 
二 当該一の日における次に掲げる資産(以下「特定資産」という。)の帳簿価額の合計額
 
イ 金融商品取引法第二条第一項に規定する有価証券及び同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利(以下「有価証券」という。)であって、当該会社の特別子会社(資産の帳簿価額の総額に対する有価証券(当該特別子会社の特別子会社の株式又は持分を除く。)及びロからホまでに掲げる資産(イにおいて「特別特定資産」という。)の帳簿価額の合計額の割合が百分の七十以上である会社(第六条第二項において「資産保有型子会社」という。)
 
ロ 当該会社が現に自ら使用していない不動産(不動産の一部分につき現に自ら使用していない場合は、当該一部分に限る。)
 
ハ ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利(当該会社の事業の用に供することを目的として有するものを除く。)
 
ニ 絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産、貴金属及び宝石(当該会社の事業の用に供することを目的として有するものを除く。)
 
ホ 現金、預貯金その他これらに類する資産(次に掲げる者に対する貸付金、未収金その他これらに類する資産を含む。)
 

 

「資産保有型会社」とは、会社の保有する全資産のうち、不動産などの特定資産が占める割合が70%以上である会社をいいます。

 

📝【特定資産】

  • 上場株式、国債などの有価証券、資産管理会社の持分
  • 賃貸マンションなどの自社で使用していない不動産
  • ゴルフ会員権
  • 絵画、貴金属、宝石など
  • 現預金、会社の代表者や同族関係者に対する貸付金等

 

資産運用型法人とは

「資産運用型法人」については、同じく≪経営承継円滑化省令第1条13項に定義されていますので、確認してみましょう。

 

この省令において「資産運用型法人」とは、一の事業年度における総収入金額に占める特定資産の運用収入の合計額の割合が百分の七十五以上である会社をいう。
 

 

不動産賃貸業では、総収入金額に占める家賃収入の金額の割合が75%以上であれば、この「資産運用型法人」に該当することになります。

 

事業実態要件について

上記の資産管理法人に該当したとしても、「事業実態要件」を満たせば、事業承継税制の適用を受けることができます。

 

「資産管理会社の目的」は、一般的にオーナーの資産を管理することです。

 

通常の会社のように、「人を雇って、営業活動を行い、利益をあげる」ことが最大の目的ではないため、「プライベートカンパニー」とも呼ばれています。

このような会社にまで事業承継税制の射程がおよぶことは適正ではないですが、通常の会社のように事業の実態があるのであれば適用することができますよといった内容になります。

 

では、具体的に「要件」をみていきましょう。

📝【事業実態要件】

  1. 常時使用する従業員が5人以上であること
    後継者の親族を除き、従業員は、社会保険に加入している必要があります。
  2. 事務所、店舗、工場などを所有していること
    事務所を賃貸で事業を運営している場合でも可能です。
  3. 贈与・相続開始の日まで引き続き3年以上事業を営んでいること
    不動産賃貸などで、第三者に貸付ている場合も含まれます。

「2」と「3」の要件は特に問題ないでしょう。

 

問題となるのは、「1」の従業員要件です。

基本的に不動産の管理などは管理会社に委託することになりますし、その事業形態上、従業員を雇うほどの業務量がないからです。

 

まとめ

不動産賃貸業という事業形態上、その保有している資産は大半が不動産であり、運用収入は所有不動産からの賃貸収入が占めることになります。

資産管理会社に該当したとしても、「事業実態要件」を満たしていれば、事業承継税制の適用を受けることは可能です。

しかし、家族経営が基本の資産管理会社において従業員を5人以上雇うことは非常にリスクでり、メリットがありません。

「不動産賃貸業の事業承継」に関しては、これまで通り、事業承継税制以外の方法で対策を考える必要があるでしょう。

 

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