こんにちは。大阪府の寝屋川市で不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。
不動産の建築等により消費税の還付を受けるためには、新たに法人を設立し、金の売買などを繰り返すことが必要です。
しかし、このような不自然な活動を国はよく思っておらず、税制改正などのリスクがあります。
今回は、「太陽光発電設備の購入」により、金の売買などを繰り返す必要がなく、既存の法人でも簡単に「消費税の還付等を受ける方法」について解説していきます。
仕入税額控除について
消費税を控除するための大前提として、支払った消費税のうち課税売上に対応するものを控除するという原則(仕入税額控除)があります。
極論を言うと、課税売上がゼロであれば、控除できる消費税もゼロということになりますし、課税売上が1円でもあれば控除できることになります。
95%ルール
「仕入税額控除」は、課税売上に対応するものでなくてはならないというのが原則です。
例外として、「課税売上割合が95%以上」で「一定の要件」を満たすときは、支払った税額の全額を控除できる「95%ルール」があります。
📝【一定の要件】
その課税期間における課税売上高が5億円以下であること
課税売上割合が95%以上の法人が太陽光発電設備を購入する場合には、その購入にかかる消費税を全額控除できることになります。
課税売上割合が95%未満の場合
課税売上割合が95%未満の場合の仕入税額控除の計算方法は、「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の選択適用になります。
📝【仕入税額控除の計算方法】
- 個別対応方式
課税仕入れにかかる消費税を取引ごとに、課税売上や非課税売上に対応しているかどうかを判定し、仕入税額控除の金額を計算する方法
【算式】
課税売上に対応する仕入等の税額 + (課税、非課税に共通する仕入等の税額 × 課税売上割合)
- 一括比例配分方式
課税仕入れにかかる消費税に課税売上割合を乗じて仕入税額控除の金額を計算する方法
【算式】
仕入等に係る税額 × 課税売上割合
※一括比例配分方式を選択した場合は、2年間継続して適用しなければなりません。
太陽光発電設備を購入した場合は、「個別対応方式」を選択するようにしましょう。
太陽光発電設備から発生する売電収入は「課税売上」に該当しますので、「個別対応方式」では、その購入にかかる消費税を全額控除することができます。
一方、「一括比例配分方式」では、他に非課税売上があると課税売上割合が減少してしまう。
→ 控除できる消費税も非課税売上の割合分だけ減る。
免税事業者の場合
消費税の還付を受けるためには、太陽光発電設備を購入する法人等が「消費税の課税事業者」である必要があります。
免税事業者である場合には、「課税事業者選択届出書」の提出を検討してみましょう。
この届出書を提出すれば、「提出した課税期間」の「次の課税期間」から課税事業者になることができます。
しかし、この届出書を提出した場合は、課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻ることができないので、「2年間で納税する消費税の額」と「還付される消費税の額」を比較し、実際に適用するかどうかを検討しましょう。
まとめ
太陽光発電設備であれば、既存の法人だけでなく、「個人事業者」でも消費税の控除を受けることが可能です。
設備を導入するにあたって、消費税の還付・控除を受けることができれば、事業運営の安全性が増し、キャッシュフローにも余裕ができるので、ぜひ検討してみてください。