こんにちは。大阪府の寝屋川市で不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。
平成28年度税制改正により、消費税還付を受けることは、とても難しくなりましたが、まだ完全にその道が閉ざされたわけではありません。
マンションを建設して消費税の還付を受けるまでは、この改正が施行される以前の方法と同じになります。
今回は、平成28年度税制改正により、「消費税還付を受けた後にやるべきこと」について解説したいと思います。
平成28年税制改正により変わったこと
平成28年税制改正により新たに創立されたのが、「高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除等の特例」です。
この改正により、「1000万円以上のマンションを建設(購入)した場合」には、「購入した事業年度開始の日から3年を経過する日の属する事業年度までの期間」は免税事業者になれないこととなりました。
約3年間免税事業者となれないことにより、「課税売上割合が著しく変動したときの調整」に引っかかる可能性がでてきたのです。
📝【課税売上割合が著しく変動したときの調整】
100万円以上の固定資産(調整対象固定資産)を購入等した場合に、「購入日の属する事業年度」から「3年間の売上に占める課税売上の割合」が大きく変動している場合には、購入時に還付等を受けた消費税をその変動した割合に応じて返金する制度
居住用のマンションを建設した場合には、その後の売上としては、入居者からの家賃収入になりますが、その家賃収入は「消費税のかかっていない非課税売上」になります。
課税売上となるものは、マンションの駐車場代などが考えられますが、大半の売上は入居者からの家賃収入になり、通常は90%以上が非課税売上になります。
消費税の還付を受けた後に、何も対策をせずほっておくと、還付金の約9割は国に返還しなければならないのです。
消費税の還付を受けるための方法
平成28年税制改正後も消費税の還付を受けるためには、課税売上割合の変動を抑えることが必要になります。
具体的には、下記の計算式で計算した割合判定に引っかからないように課税売上を意図的に発生させてあげればいいのです。
「課税売上」を発生させるために現在最も多く行われている方法が「金地金の現物を売却」することによる方法です。
日本では、金の売買に対して消費税が課されており、個人でも手軽に取引できることや、価格変動が少ないことなどが多く利用されている理由になります。
なお、「金を売却する金額」についてですが、少なくても3年間で発生する家賃の金額の合計額と同額以上の売却をしておけば、上記の判定に引っかかることはありません。
また、消費税の還付後なるべく早めに金の売買を済ませておくのがよいでしょう。
まとめ
平成28年度税制改正により、消費税還付を受けた後にやらなければならないことが増え、仕組みが複雑になりました。
また、還付後に多額の金の売買をしなければならないことにより、金の取引業者へ少なくないスワップや手数料を支払う必要もありますので、コストも以前よりかかってしまいます。
マンションの購入や建設による消費税の還付を考えているひとは、事前にかならず消費税還付に精通した税理士や不動産業者とスケジュールを相談するようにしましょう。
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