第20回 村岡ダブルフルウルトラマラソン 【完走記】
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去年に続き2回目の挑戦です。去年は91.2kmの関門を突破できず無念のDNF。
村岡ダブルフルウルトラマラソンとは
人口わずか約6000人しかいない「兵庫県香美町村岡区」で開催。
📝【コースの特徴】
- 最大高低差900m
- 累積の上りが2550m
- 「西の横綱」の異名をもつ
「2550mという高さ」は、日本百名山では浅間山の2568mに相当します。これを走るって…(笑)
ちなみに「東の横綱」は、長野県の「野辺山ウルトラマラソン」
今年、私も初めて出場し、制限時間ギリギリで完走しましたが、個人的には最初から最後までアップダウンを繰り返す村岡のほうが、ハードな気がします。
また、今年は第20回のメモリアル大会ということで、勇者の道120kmの部が創設されています。
勇者の道には、だれでもチャレンジできるわけではなく、過去3年間で村岡の100kmの部で完走したことがある人しか出場できません。
私は、去年初めて出場し、91.2kmの関門を突破できず、勇者の道の出場資格がないため、「100kmの部」にリベンジしました。
第20回の完走率はこんな感じです。
120㎞ 29.6%
100㎞ 64.9%
88㎞ 80.7%
66㎞ 83.9%
44㎞ 93.7%
当日の気温もレースの完走率には大きな影響をあたえますが、今回はそんなに気温があがらなかったのでよかったです。
それでも、勇者の道の完走率がほぼ30%というのは、かなり驚きです。
勇者の道の出場者は500人ですので、150人ほどの勇者が誕生していることに。。。
勇者の道に出場する人は、この1年間で相当トレーニングを積んできているのだとかんがえられます。
村岡完走に向けて取り組んだこと
第19回では、91.2kmの関門でアウトという悔しい結果だったので、今年はこの「村岡を完走すること」を目標にトレーニングに取り組んできました。
去年の反省を生かして、今年は以下のことに取り組みました。
(1)とにかく夏場に走り込み、暑さになれる
村岡の開催時期が毎年「9月の下旬」であるため、まだまだ残暑も厳しく、気温は30°近くまで上昇します。
夏場に走りこむことによって、暑さに体を慣らし、熱中症予防にもなるかと考えました。
8月は、目標にしていた「月間走行距離300km」を達成することができ、本番にむけてかなり自信になりました。
(2)エイドでの食事補給
今年は、「日光ウルトラマラソン」にも出場したのですが、エイドでの食べ過ぎが原因か、50km過ぎから吐き気に襲われ、胃薬も効かず、82.4kmでリタイアしてしまいました。
村岡では、エイドでの補給は最小限に抑え、終盤のエネルギー切れに備えて、「SAVASのエネルギージェル」で対応。
(3)チェックリストの作成
自分の経験上、忘れ物が激しく、また、ウルトラは走行時の装備も色々あったりするので、今回から下図のような「チェックリスト」を作成することにしました。
📝【用意したチェックリスト】
- 大会当日の持ち物
- 本番の装備
- 中間地点の荷物リスト
- 最終地点の荷物リスト
チェックリストのおかげで大会当日、特にトラブルもなく、本番に臨めたので、次の大会以降も使いまわしていこうと思います。
(4)序盤から貯金をつくる
ウルトラマラソンでは大事な戦略です。
去年は村岡という名前にビビり過ぎて、前半抑えすぎたため、常に関門との戦いになってしまいました。
スタート前から戦わずして負けてました。
100kmの長丁場で後半に追い込むというのはかなり難しいと思います。
今回は、「キロ6分ペース」でいけるとこまでいきました。
(5)フォアフット走法へのチャレンジ
去年一年間は、膝や足の甲など怪我に悩まされ思うように練習で距離を積めなかったので、「フォームの改善」に取り組みました。
池井戸潤の『陸王』を読んだことがきっかけ(10月からドラマ化されましたね)で、かかとから着地していたのを、膝への負担が少ない「フォアフット走法」に変更し、「足袋ランニングシューズ」をはいた練習も取り入れました。
やり始めは、ふくらはぎが筋肉痛で、しかも激痛でしたが、「膝の故障」に悩まされなくなりました。
(6)平日の練習量増加
これまで、平日はあまり走る時間がなく、休日になるべく長い距離を走るようにしていたのですが、それでは月間の走行距離を全く刻めていなかったので、生活リズムを見直し、生活習慣を変えました。
「夜10時就寝、朝5時起床」を徹底し、平日の練習時間を確保。
エントリーをすましていよいよスタート
大会前日に村岡体育館にて受付を済まし、参加賞のTシャツやらゼッケンを受け取り、エントリーは完了になります。
去年は、前夜祭に「土佐礼子さん」がゲストランナーとして来ていたので、参加しましたが、今年はゲストランナーがいなかったので、スルーしました。
その代わり?に今年は、ジェラート屋が受付会場で出店していました。
ウルトラマラソンは今回で「6回目」の出場ということもあり、あまり緊張することもなく、前日は19時半には眠りにつき、2時半までぐっすりでした。
ウルトラマラソンは制限時間が14時間という長丁場であるので、スタート時間も早く朝の5時にスタートします。
1分前からカウントダウンが始まり、いよいよスタートです。
事前の作戦通り、スタートしてから42km地点までは坂もそこまでキツイところは無く、快調に飛ばしました。
去年は、20km地点でへばっていたことを考えると、絶好調です。
息もそんなに乱れていません。
40km付近地点にある猿男滝エイドでの「名物流しそうめん」も写真だけ取ってスルー!
フルマラソンのベストに近い4時間24分で通過。
ベストは15分なので、これは自分でもビックリ!夏の走り込みの成果か。
11月の大阪マラソンも楽しみです。サブ4も行けるかも!?
※大阪マラソンで、念願のサブ4達成しました!
村岡の厳しさはここからが始まり
ここから標高800m、10km弱の道のりをひたすら登っていきます。
みてのとおり、蘇武岳はほぼ全歩きでこれまでの貯金をほぼ使い果たします。ここまで快調にとばしてきて、足にダメージがかなり蓄積されていました。
なんとか頂上まで登頂し、これから下りで挽回、と切替えたいところですが、さすが村岡、西日本一番の難関コースと言われ一筋縄では行かない所以でしょう。
ちなみにコースマップはこちら!
見た感じ67kmあたりまで下り一辺倒なのですが、実際にはここにもかなりのトラップ(アップダウン)が隠されていて、思うようにペースが上がらず、足も回復せず。
下りは走って、登りは歩くを繰り返し、結局「平均8分/km」くらいでした。
ただ、エイドでの補給を最低限に抑えてるおかげか、胃のほうは絶好調!
それにしても、中間地点が遠い…。
中間地点
普通ウルトラマラソンでは、名前の通り50km付近に中間地点をもってくるのですが、村岡は73kmの「射添エイド」に中間地点があります。
もはや中間地点ではないですが、文句を言っても仕方ないので、ここから「和佐父(わさぶ)峠」を歩いて登ります。
村岡で12時間切るためにはこの辺りの坂で、どれだけねばって走れるかが大事かと思います。
和佐父峠をなんとか登りきって、足の疲労はピークに!
もう下りも6分ペースが限界です。
和佐父峠を下っていくと、ようやく中間地点の射添エイドへ到着。
チェックリストにある荷物を受け取り、スプレーを大量に足に浴びせ、ストレッチを入念に行います。
ここまで、「キロ7分ペース」と順調すぎるくらいにきて、完走は余裕でできそうだったので、心に余裕もうまれてきてます。
「もしかしたら13時間切れるかな??」
と、ちょっと欲も出てきたので、すぐに荷物を返却し、出発!
さあ、ここからまたもや激坂。
400mほど登っていきます!
足も限界に来てるので登りは積極的に歩いて、緩やかなところは頑張って走ります!
途中、長楽寺の中を走ります。
「長楽寺の但馬大仏」。めちゃくちゃデカイです!なんと、この大会では、仏像の背後も走ってお寺の中をぐるりと一周します。
去年は関門ギリギリで食べれなかった長楽寺の恒例エイド、「おはぎ」です。
あんこときな粉があるのですが、今回は、きな粉のほうをチョイス!
…あえての薄味かな。あんこにしたらよかった(笑)
おはぎを堪能した後は、そのまま長楽寺を出て、さらなる激坂を登っていきます。
この坂の頂上にあるあけぼの山荘エイドには、カレーがあります。(写真撮り忘れました)
ここまでエイドで炭水化物をあまり取っていなかったので、めちゃくちゃ胃にしみます。
おばちゃんに「おかわりも食べてってや~」と勧められましたが、日光の二の舞は避けたいので、水分補給して出発。
ここから90kmぐらいまではしばらく下りが続きますが、長楽寺からの激坂で足はつねにつる寸前。
この時点でのトータルペースが「キロ7分半」くらいまでペースダウンしていたので、これ以上ペースダウンするわけにはいかない!と気合をいれなおし、なんとか7分きるくらいのペースで、歩きを混ぜながら下っていきます。
ラスト10km!90km地点
あと10キロ!去年はここでDNFだったので、自分には未知の領域です。
今まで私がでてきたレースでは、ラスト10キロくらいからロードというのが、鉄板なのですが、村岡はここからさらに坂を登っていかなくてはいけません。
しかも結構な激坂です。ドM過ぎます。
一ニ峠と書いて『ほいとうげ』です。
もう、スマホを取り出す気力も体力も残っておらず、写真は全くとれてません(笑)
勇者の道に出るランナーは、100kmのゴール地点を折り返してきて、この 90km地点をさらに折り返し、一緒にゴールを目指していくのですが、一ニ峠3連発です。
この時、ほんとに勇者の道の参加資格がなくてよかったと心から思いました。
6kmほど最後の坂をただただ歩いていく中、勇者の皆様がぞくぞくと100kmから折り返してくるので、一人一人全員に「ナイスラン!」と声掛けしていたのですが、100km走った後とは思えない力強い走りに、ものすごく感動して、逆に元気を頂きました。
さあ、6km登ったところで、経過時間は12時間10分。
13時間は余裕で切れそうなので、ここにきて目標変更することに。
残り4kmを5分ペースでいって、12時間半きる!!下りやったらいける!
ということで、96km時点からほぼダッシュ!
他のランナーが歩いたり、足が攣ってストレッチしてる横を全速で走り抜け、かなりの人数抜きました。冗談抜きで100人くらい抜いたんじゃないだろうか。
最後の最後で「ビルドアップ走」(笑)
限界の中、アドレナリン出まくりで、思ったより息も上がらずでした。
練習でもこんなペースで走ってないのに。
これから、ウルトラに限らずレースに出場する方は、レースの中で「自分なりに目標をもって走る」ことって大事だと思います。
自分でも知らない力が出ます!これはマラソンに限らずですね…。
100km完走!
ゴール会場である村岡小学校の校庭でも1人、2人とかわして、ギリギリ12時間29分でFinish!
なんと村岡で100kmの自己ベストを更新しちゃいました。
最後は、このような素晴らしい大会を開催してくれた大会運営の方々、暑い中、朝早くから沿道で声援を送ってくれた村岡市民の方々、毎年大会の運営のボランティアで協力してくれる村岡の学生たちに感謝の気持ちを込めて、ゴールに向かってお辞儀をして、フィニッシャータオルを受取り終了。
村岡ダブルフルは今まで出場したレースで一番キツイコースですが、ウルトラの中では一番好きな大会です。
相当なドM。。。まあウルトラランナーは基本みんなドMです(`・ω・´)キリツ!
村岡はただ標高差が激しいドMなコースというだけでなく、「ランナーのみなさん一人ひとりが自分に合った栄養補給を充分してほしい」という理念のもとエイドがかなり充実しています。
ほとんどのエイドにプッチンプリンを置いていたのですが、胃腸が弱い私には、すごく助かりました。
📝【エイドの数々】
- カレー
- おはぎ
- 大福
- ピザ
- ヤクルト
- アクエリアス
- コーヒー牛乳
- 流しそうめん
など、ほんとにバラエティ豊かです。
また、人口6000人ほどの小さな町ですが、コースのいたるところで朝早くから、おじいちゃんおばあちゃんが旗を振って応援してくれたり、蘇武岳の激坂には、ランナーを励ます全員分のプレートを1本1本たてていてくれたりと、ほんとにランナーのことを一番に考えてくれてる大会だとおもいます。
ウルトラマラソンには、参加する人ひとりひとりにドラマがあって、いろんなランナーとの出会いがある。
また、練習や大会で家族には迷惑をかけていますが、いつも応援してくれる妻には本当に感謝しています。ありがとう!
ウルトラ最高!!
完