こんにちは。大阪府の寝屋川市・枚方市を中心に不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。
【相続税の節税対策】として、養子縁組のスキームがその一つの方法として利用されることがあります。
このとき、何人までなら養子を法定相続人としてカウントすることができるのかが重要になります。
また、実施が相続開始前に亡くなっている場合の取扱いについてもあわせて解説していきたいと思います。
節税対策としての養子縁組とは?
相続税の計算は、「遺産総額ー基礎控除額」により課税財産を計算します。その結果、遺産総額が基礎控除額よりも少なければ、相続税はかからないことに。
📝【基礎控除額の求め方】
基礎控除額 = 3,000万円 + 法定相続人×600万円
つまり、法定相続人1人あたり、相続財産を600万円圧縮できることになります。
相続税の節税対策として養子縁組が行われるのは、養子も法定相続人の一人としてカウントされるためです。
では、養子を無制限に増やしていけば相続税がかからないかというと、そんな訳もなく。
民法上は、養子の数に制限を設けていませんが、相続税法は「養子縁組を利用した過度な節税」を防ぐために、法定相続人としてカウントできる養子の人数に制限をもうけています。
養子の人数制限とは?
養子については、「民法」と「相続税法」に定めがありますが、今回問題となるのは「相続税法上の養子の人数」についてです。
養子の人数の制限については、『相続税法の第15条2項』に規定されています。
『法15条2項』
前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人
二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人
つまり、被相続人に「実子がいれば」、法定相続人としてカウントできる養子は1人。「実子がいなければ」、2人まで養子を法定相続人としてカウントできるということになります。
実子が相続開始以前に亡くなっている場合の養子の人数は?
被相続人には実子がいたが、被相続人の亡くなる前に実子が亡くなっている場合には、養子は何人まで法定相続人としてカウントできるのでしょうか。
実は、この場合の取り扱いは相続税法上明確に規定はされておらず、国税庁の基本通達などにも明文化されていませんので、条文の解釈により判断せざるを得ません。
問題は、上記の『相続税法15条2項』の実子の有無のをいつの時点で判断することになるのかということです。
結論は、相続開始時点で実子が亡くなっていれば、養子も2人まで法定相続人としてカウントできると考えられます。
条文から過去に実子が存在していたならば、養子が1人までしか法定相続人としてカウントできないという解釈は拡大解釈になると考えられます。
📝【拡大解釈とは】
言葉や文章の意味を、自分に都合のいいように広げて解釈すること
あくまでも、相続開始時点において、実子が存命かどうかにより判断するという解釈のほうが自然です。
まとめ
相続税対策としての養子の人数には制限があります。
「実子の有無の判定」は相続開始時点で判断すると考えられますので、相続開始前に実子が亡くなっており、子供がいないのであれば、養子を2人まで法定相続人としてカウントできるでしょう。