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不動産賃貸業において火災保険料は一括で経費になる?

 
火災保険料
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こんにちは。大阪府の寝屋川市・枚方市を中心に不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。

日本は「災害大国」とよくいわれます。

最近では2018年にも、「大阪北部地震」や「7月の豪雨や台風」により、たくさんの災害にみまわれました。

不動産賃貸業を営む大家さんの中にも、被害にあわれた方は多くいると思います。

 

自然災害は大家さんにとって一番の経営リスクになるので、キチンと対策しておきたいですね。

ひらかわ

「自然災害」による被害だけでなく「放火や窃盗・破損といった事故」や「入居者の過失」による損害を最小限に抑えるためにも、「火災保険への加入」は必須になりますが、物件によっては保険料の金額が高額になります。

 

今回は、火災保険料の金額が経費になるのかということにスポットをあてて解説していきます。

※結論だけ知りたいかたは、第2章だけご覧ください。

大家さんが加入する火災保険の種類について

一言で火災保険といっても、その内容はさまざまな種類の保険が組み込まれています。

大家さんは火災保険に加入するさいには契約の内容をしっかり確認し、どのような補償内容にするのかを検討することが大切になります。

📝補償内容の判断基準】

  • 所有物件の築年数や状況
  • 立地

まずは、大家さんが加入すべき火災保険の種類について、みていきましょう。

1.火災保険

最も基本となる保険になります。

火災保険は大きく「住宅火災保険」「住宅総合保険」に大別されます。

  • 住宅火災保険・・・「火災・破裂爆発・風災・落雷・雪災・雹災」などの基本的な自然災害を補償
  • 住宅総合保険・・・「上記の補償内容」 + 「水漏れ、飛来、物体落下、盗難などの補償内容」

「住宅総合保険」は「住宅火災保険」にプラスアルファしたもの。

前述の「補償内容の判断基準」を参考に、物件ごとに補償内容を判断していくことが重要です。

2.地震保険

地震保険は「阪神淡路大震災」以降その重要性が認知されました。

大家さんには必ず加入してほしい保険の一つです。

地震保険がカバーする範囲は、地震や噴火などが原因の「火災・倒壊・損壊・埋没・津波被害」。

地震による火災は、火災保険では補償されないので、注意しましょう。

ひらかわ

地震による「津波被害」も地震保険により補償してくれるものになります。

ハザードマップで浸水区域に立地している物件は、加入がマストです。

 

なお、地震保険は火災保険とは別に「単独で契約するもの」と思っているかたも多いとおもいますが、あくまでも火災保険のオプションとして付加される保険。

 

また、地震保険は「半公的保険」とも呼ばれ、どこの保険会社で加入しても補償内容や保険料に違いがありません

3.施設賠償責任保険

施設賠償責任保険は、一般の方にはなじみが薄い保険であると思いますが、大家さんにとってはとても重要な保険になります。

 

補償内容は、「建物の欠陥」により、入居者や通行人などにケガを負わせたり物を壊したりしたときに生じる「損害賠償責任のリスク」をカバーするための保険です。

📝【施設賠償責任保険の補償内容】

  • 法律上の損害賠償金
  • 損害を防ぐためにかかった費用
  • 事故発生時の応急手当等の費用
  • 裁判費用や弁護士費用

 

「配水管が破裂したことのよる水漏れ」や「エレベーターの使用・管理による事故」などは別途特約が必要な場合があります。

加入前に保険の内容を事前に確認するようにしましょう。

 

また、施設賠償責任保険は比較的保険料が安く、コスパがいい保険とされています。

賃貸経営には予期せぬ事故がつきもの。

賠償責任を負う可能性は誰しもあるので、大家さんはなるべく加入し、経営上の守りを固めておきましょう。

4.家賃補償保険

「家賃補償保険」とは、火災、風災、水災、入居者の死亡などにより建物に損害が生じた場合で、部屋の修繕等の期間中、「家賃収入を得ることができないようなケース」に、その「家賃収入の損失を補償してくれる保険」になります。

 

具体的な補償内容は下記をご参考ください。

  • 火災・・・タバコなどの火の不始末により、部屋が焼損し、一定期間家賃収入を得ることができない
  • 落雷・・・落雷により電源がショートし、一定期間部屋を貸せず、家賃収入を得ることができない
  • 破裂、爆発・・・コンロなどの着火時に、ガスに引火し爆発。一定期間家賃収入を得ることができない
  • 風災、ひょう災、雪災・・・強風で屋根が破壊。一定期間家賃収入を得ることができない
  • 水災・・・豪雨などにより部屋が水浸し。一定期間家賃収入を得ることができない
  • 入居者の死亡・・・入居者が自殺、孤独死してしまったことにより、一定期間家賃収入を得ることができない

 

家賃補償保険については、加入すべき優先度は他の保険に比べてそこまで高くはありません。

しかし、ローンの返済比率が高い場合など、「家賃収入の減少が賃貸経営に与える影響が高い」のであれば、加入しておくことをおススメします。

火災保険は経費になるのか

結論として、事業用部分について「火災保険は経費」になります。

ですが、支払った年度において全額経費にすることはできません。 

火災保険を1年契約で毎年支払うような場合には、支払った年度で全額経費にすることができますが、長期契約のほうが単年よりも保険料が安くなるので、通常5年や10年などの期間分をまとめて支払うケースが多くなります。

【注意】

火災保険は最大10年間、地震保険は最大5年間の保険契約を結ぶことができます

会計上は、「適正な期間損益計算」を行う必要があるので、翌年度以降の費用を前もって支払った場合には、その支払金額をいったん資産計上しなければなりません。(勘定科目は「前払費用」になります。)

 

火災保険を支払ってから経費に計上するまでの流れは、

①支払った金額を「前払費用」に計上

②当年分に対応する期間分だけ「保険料」として費用計上

③翌年以降は毎年期間対応分を経費化していく

ことになります。

 

次に具体例でみていきます。

契約内容

契約開始日:7月1日

火災保険(10年)150万円、地震保険(5年)60万円

計算

火災保険:150万円 × 6か月/120か月 = 75,000円

地震保険:60万円 × 6か月/120か月 = 30,000円

初年度経費合計 105,000円

翌年以降は、12か月分を毎年経費として計上していくことになります。

ひらかわ

マンションの一部を自宅として使用している場合

「マンションの一室を自宅として使用している」ような場合には注意が必要です。

自宅部分は経費として計上することができません。

合理的な割合(床面積など)で按分し、「自宅部分」と「事業用部分」に区分しましょう。

「自宅部分」については、不動産所得の計算上経費にできませんが、「地震保険料控除」として所得控除が可能です。

ひらかわ

まとめ

火災保険には、「火災保険」、「地震保険」、「施設賠償責任保険」、「家賃補償保険」などがあります。

物件の築年数や立地などの条件に合わせて、保険内容をカスタマイズしましょう。

火災保険は長期契約が一般的ですので、支払った年度に一度に経費化することができません

「適正な期間損益計算」をおこなうために、保険契約の期間に応じて年度ごとに経費化していく必要があります。

マンションの1室を自宅として使用しているような場合には、合理的な割合により自宅部分と事業用部分を分ける必要があります。

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