こんにちは。大阪府の寝屋川市で不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。
不動産オーナーから多い質問のひとつに、車の購入代や維持管理に必要なガソリン代などのランニングコストを経費として落とせるかという問題があります。
そこで今回は、「車両費」について解説していきたいと思います。
※当記事では、車にかかわる費用をまとめて「車両費」として取り扱っていきます。
車両費の内容
経理上、車にかかわる費用は、「車両費」という勘定科目で一括で処理してしまうといいでしょう。
勘定科目については、必ずこの科目を使わなければならないというルールがないので、できる限りシンプルな処理を意識し、「経理の効率化」を図ります。
また、使用する勘定科目を少なくすることにより、年度によって使用する勘定科目のバラツキが少なくなり、過年度の比較がしやすくなるというメリットもあります。
📝【車両費として計上する費用】
- 自動車税、自動車取得税、重量税
- 車検代
- 自賠責などの保険
- ガソリン代
- 駐車場代
- 車の修理代など
車は事業に必要なものか
車両費を経費として落とせるかどうかの「判断基準」としては、その車を事業として使用しているかどうかということが一番重要になります。
📝【不動産賃貸業において車を事業に使用している事例】
- 物件の視察
- 事務所を借りている場合は、事務所までの移動
- 不動産業者との打ち合わせ場所までの移動
- 所有物件の見回りなど
全額経費に落とすことは難しい?
車は物件の視察や業者との打ち合わせなどの移動に使用しているから、「全額経費に落とすことができる」と考えている不動産オーナーがいれば、少しお待ちください。
その車、プライベートでも使用していませんか?
個人で事業を行っている場合、支払った金額のうちプライベートで使用していると考えられる金額については、「家事費」として扱われ、経費に計上することができません。
不動産賃貸業を営む個人が、車を事業のみに使用していると主張することは一般的に難しいでしょう。
その場合、車両費を「事業」と「プライベート」で使用した割合に応じて按分しなければなりません。(むしろプライベートでの使用のほうが多い場合が大半でしょう…)
また、遠方に物件の視察に出かけた場合などは、「せっかくだから観光やショッピングもしよう」となるかもしれません。
そんな場合には、物件の資料や不動産屋の名刺など「物質的な証拠」を残すようにしておけば大丈夫です。
事業と家事費の分け方
車両費を「事業と家事費に分ける按分の方法」は、「合理的な基準」で明確に分けることができていれば、どんな方法でもかまいません。
📝【合理的な基準とは?】
- 走行距離による按分
その年の総走行距離のうち、事業で使用した距離分だけを計上する方法
- 日数による按分
1週間のうち、事業で使用した日数分だけ計上する方法
【注意】
サラリーマン大家さんで、「平日のうち週5日」会社で働いているような場合には、事業として動けるのは休日の2日のみであると考えられるので、車両費を経費として落とせる金額は少なくなります。税務署の調査官によっては、サラリーマン大家の場合、車両費はすべて家事費だと考えている人もいるので、特に注意が必要です。
最終手段?車両費を明確に区分できないとき
ここまで、車両費を合理的な基準で按分するための方法などを解説してきましたが、実務的に走行距離などで明確に事業用と家事費を按分している不動産オーナーはあまり多くないと思います。
これは、これまで数多くの不動産オーナーの顧問をしてきた私の経験上のお話にはなりますが、ざっくり車両費の30%くらいであれば、税務調査で否認される可能性は少ないと思います。(現状税務調査で否認されたことはまだありません…)
あくまでも最終手段であり、専業大家さんに限った話になりますので、確実に経費として落とすためには、合理的な基準により明確に事業専用割合と家事費を按分するようにしましょう。
まとめ
車に関わる費用は、「車両費」の勘定科目に1本化することにより、経理の効率化につながります。
事業で車を使用していれば経費にできますが、事業専用割合と家事費を合理的な基準で按分するようにしましょう。
明確に区分することが難しい場合は、全体の30%くらいまでであれば否認リスクが少ないと考えられます。