こんにちは。大阪府の寝屋川市で不動産オーナーを支援している税理士の平川(@asse_t_ax)です。
不動産を売却する時には税金以外にもさまざまなことに注意が必要です。
扶養家族の奥さんが不動産を売却したけど、税金以外に気を付けることはあるの??
Aさん
はい。
扶養家族名義の不動産を売却したときには、社会保険や所得税の扶養から外れる可能性があるので、注意が必要です。
今回は、扶養家族が不動産を売却することによる扶養への影響について解説しますね。
ひらかわ
扶養家族とは
夫がサラリーマン、妻は専業主婦で、学生の子どもがいるような一般的な家庭の場合。
奥さんが、夫のお給料の範囲内で日々の生活をやりくりし、子供の学費なども支払っていくと思います。
このような場合、妻と子供は、サラリーマンである夫のお給料により、収入面での援助を受け生活していることになるので、「扶養家族」と呼ばれます。
扶養の種類
「扶養」には、社会保険や所得税法などで取り扱いが異なるので、注意が必要です。
📝【扶養の種類】
- 夫の勤めている会社が加入している健康保険
- 厚生年金
- 税法上の扶養控除・配偶者控除
なお、会社から扶養手当が支給されている場合には、支給停止になる場合も。
就業規則等で確認しておきましょう。
扶養家族が不動産を売却
たとえば、奥さんが父親の相続で、土地を取得した場合。
昔から保有している土地などを売却すると、多額の売却益が出ることがあります。
「多額の譲渡益がでるようなケース」では、扶養への影響はどの程度あるのか。
不動産を売却するとき、
- 長期譲渡と短期譲渡のどちらに該当するか
- 税金はいくらかかるのか
ということをまず検討します。
Aさん
そうですね。
みなさん税金のことで頭がいっぱいになり、扶養のことまで配慮が及ばないことが多いです。
ひらかわ
健康保険の扶養への影響
健康保険は加入している保険組合によって取扱いが異なります。
中小企業などでは、大半が全国健康保険協会が運営する協会けんぽに加入しているかと思います。
「協会けんぽの被扶養者の要件」は
「認定対象者の年間収入」が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、「被保険者の年間収入」の2分の1未満である場合は被扶養者となります。
問題となるのは、「認定対象者の年間収入」に不動産の売却益が加味されるのかどうか。
この点、「協会けんぽ」については、不動産の譲渡などの「臨時的な収入」は年間収入に加味しないことになっています。
つまり、不動産を売却することによって、多額の譲渡所得が発生したとしても、特に手続きの必要はありません。
この取扱いは「厚生年金」についても同様です。
全国健康保険協会と日本年金機構が「厚生労働省の管轄」であることから同様の取扱いになっていると考えられます。
なお、税理士国保や弁護士国保などの「士業独自の健康保険」などについては、収入によって保険料に変動はなく、家族の人数によって金額が固定されています。
そのため、不動産売却などの臨時的な収入発生による影響は受けません。
また、「各市町村に支払う国民健康保険」については、住民税の申告後、世帯の合計収入によって、翌年の支払保険料が計算されますので、取扱いは住民税と同様で、収入発生後すぐに影響があるわけではありません。
このように、健康保険については、会社が加入している組合によって、取扱いが異なります。
まずは、お勤めの給与担当者や組合に確認されることをおすすめします。
税法上の扶養
所得税法上、扶養親族に該当するための要件として、年間の合計所得金額が「38万円以下」である必要があります。
📝【合計所得金額】
不動産の譲渡などによって発生した分離課税の譲渡所得なども含みます
譲渡所得が38万円を超えるようであれば、「配偶者控除」(配偶者特別控除を受けられる可能性はあります)や「扶養控除」は受けられなくなってしまいます。
税法上は社会保険のように臨時的な収入を除くという考えがありません。
譲渡所得も含めて扶養判定をしなければいけないので注意しましょう。
また、扶養を外れることがわかっている場合には、なるべく早く、扶養者の会社へ知らせましょう。
ひらかわ
まとめ
扶養への影響は、社会保険や所得税法で、取り扱いが異なります。
また、社会保険については、加入している組合によっても、臨時的な収入が扶養の判定に影響するかどうか異なっていることがあります。
不動産を売却するときは、ご自身のご家族の構成なども考慮し、後でトラブルの起きないように注意するようにしましょう。